惨状を見過す程に人間出来ちゃおらん

兆候の噂が本当だと?「えぇ、残念ながら」糞!やはりか、確かに疑わしきと思っていた。相手は誰だ?

「同じ会社の方と思いますが、詳細は・・・」ふむ、捨て置けぬと思い、探偵会社へ相談した事、無駄足ではなく良かった。

だがこの悲報に、どう対処すれば・・・。「一度、奥様とご相談されては?」相談?日和見的意見やめてくれ。

そりゃさ、俺に甲斐性ねーよ!けどこんな惨状を見過す程、人間出来ちゃおらん!「まあ少し落ち着け、冷静に」

冷静?無理だ!兆候からもう半年。気付かぬふりを装い、笑顔を作るのも飽きた!「じゃ、どうすれば?」早く決別を。

「他に方法は?」ありません。早々に別れ、もう一度やり直す。全部ゼロベースへ。「でも娘さんが」嗚呼。俺が連れて行く。

「けど一度相談されたら?」くどいな。確かに、自分だけで決めれる問題じゃねーもんな。気まず過ぎ、家帰り難い。「良ければ、ホテルご案内しますよ」余計なお世話だ。